醸造家自ら原料栽培から醸造までを行う生産者のことを、
フランス語で「ドメーヌ」と呼びます。
そして、わたしたち八千代伝酒造は、酒造でありながら農業法人の許可を受け、
日本で初めて“ドメーヌの焼酎”を醸造しました。
創業の地、鹿児島県・垂水の豊かな自然の恵みを、しっかりと五感で感じられる
焼酎造りを、土、芋、米、麦を造るところから行っています。
錦江湾を望みそびえたつ高隅山の切れ目に降り注ぐ雨は、
やがて流れ出る伏流水となり、猿ヶ城渓谷に湧き出る美しい水となります。
そして、土づくりから取り組む肥沃な田畑にて、苗から植える芋、
そして麹となる米や麦が、その水を十分に蓄えます。
収穫された作物たちは、蔵でかめ壷で丁寧に醸され、蒸留され、
再びこの水と混ざり合うことで、
垂水のドメーヌでしか味わえない潤い高き美しい焼酎となることができるのです。
一年中、土に向かい、田畑を作り込み、かがやく水を与え、やがて、
そこで育んだ全ての命をいただく、この実りの喜びと収穫の切なさを繰り返すことでしか辿り着けない焼酎造り、これが、わたしたち八千代伝酒造の「ドメーヌ」です。
「思いはひとつ、うまい焼酎を造ること」。日々のものづくりと改善の繰り返しに身を置くと、“焼酎造りにはまだまだ先がある”、そんなことを思います。
芋のヘタや表皮下は芋の香味が最も含まれているが酸化しやすい箇所。その日に掘った自社栽培芋なら酸化していないし、収穫傷による劣化もまったくありません。それにより芋切りをほとんどしなくてよい高品質な芋が得られます。芋を余すことなく使え、何も手を加えなくても焼酎香味を洗練させられるということ。
10月以降の仕込みは、稲刈りから最短10日の自社水田の超新米を麹米にします。そのため、通常90%精米(10%削ること)の焼酎麹米ですが、超新米であるがゆえヌカ臭なく田んぼのミネラル感を表現できる、あまり削らない92%精米(8%削ること)に辿り着きました。
栽培の中でサツマイモとブドウの共通点を見出しました。酒類に広く使われる穀類と違って、高水分で傷みやすいサツマイモとブドウ。畑で思い付いて4年かけて研究開発した、貴腐ワインをイメージして製法確立したつるし芋仕込み「つるし八千代伝」、アイスワインをイメージして製法確立したクリオ芋仕込み「Crio クリオ」。どちらも高糖度になるまで芋の糖化熟成を行ってから、独自の仕込み製法で作った芋焼酎です。それぞれで特許取得しています。